定期テストがない公立中学校

本日はある中学校の紹介をしたいと思います。

東京都千代田区の千代田区立麹町中学校です。我々のよく知っている中学校のイメージとは違った方針の教育をしている学校です。

この学校では、

①定期テストがありません。

②担任の先生も決まっていません。

③宿題もありません。

そのほかにもたくさんありますが、この３つだけでも衝撃的ですよね。

「当たり前」にあったこの３つがどのような意図でなくなったか気になりますよね。

全ては「放任主義」はやめよう。そして当事者意識、自主性を持とう、ということに起因するそうです。

①については、定期テストの本来の目的について考えてみると分かりやすいと思います。

そもそもなぜ定期テストがあるのでしょうか。それは学力の定着度合を確かめる１つの手段としてあるのです。しかし、いつからか１つの手段であった定期テストが目的となり、勉強をするのは定期テストでいい点数を取るため、という風潮が強くなってきました。

　また、本来は生徒の学習定着の確認の手段であった定期テストが、先生が生徒の成績（評定）を付けるための手段としての意味も強くなってきたそうです。

　このような背景を踏まえて、麹町中学校では定期テストは廃止し、単元ごとに定着度の確認テストを実施し、不合格者は合格するまで何度でも確認テストを実施するそうです。そうすることですべての生徒が一つ一つの単元を合格するまで学ぶことが出来ます。

　つまり、定期テストで点数を出して終わり、ではなく、本来の目的である生徒の知識の定着を図るために生徒に寄り添った方法にしよう、とした結果ということです。きっと何度も何度も不合格になる子もいるでしょう。それでも合格するまでは何度も先生がその子にその単元の勉強を指導する。定期テストであれば１回テストを作り、採点すれば終わりですから、先生の負担はきっと大きいかと思います。それでも、どちらが子供たちのためになるか、ということを本気で考えて働かれているのだろう、と思います。

②、③についてもキーワードは自主性、当事者意識です。これ以外にもさまざまな改革を行っていますので興味のある方は一度調べてみてください。

この衝撃的な改革を行ったのは、工藤校長先生という方だそうです。

何よりも公立でこれを行った行動力と戦略がすごいと思います。元公務員である私個人としては、このような改革をどのような根回し、どのような手続きを踏んで行うことができたのか、という点にも非常に大きな興味がありますが。

そして、教育への情熱の高さを感じます。校長先生になって、わざわざ大きな動きをしなくても自分は困らないのに、子供のためを思ってこれだけの行動を起こすことのできる方が一体どれだけいることでしょう。私はその点についても非常に大きく心を動かされました。

なぜ、今回この麹町中学校のことを紹介したかというと、一つ感じてもらいたいことがあったからです。

「当たり前」だと思い込んでいるだけなことが多い

ということです。

中学で定期テストがあるのは当たり前だと思っていましたよね。学校で担任の先生が決まっていることが当たり前だと思っていましたよね。

私もそうでした。でも当たり前ではなかった。

これはすごく大事なことだと思います。

「ずっとこうやってきたから」

「みんながこうやって言っているから」

そういう「当たり前」だと思い込んでしまうきっかけは日常にたくさんあります。

でも、本当にそれが正しいのだろうか？という意識を持つことはとても大切です。人の意見や前例を参考にするのはいいことです。でも、あくまで参考です。最後は自分で考えなければいけません。「当たり前」だと思い込むことで、無意識のうちに自分で考えることをやめていませんか？考えることを放棄することの言い訳になっていませんか？

今回の記事については、この麹町中学校の施策が正しい、とか、間違っている、ということが言いたいわけではありません。私個人としてはこの教育方針は魅力的だと感じますが、先生側の視点に立てば問題もあります。教師の過重労働が問題となっている現在において、このような施策をとることで先生たちの業務量が増えることが予想されます。

また、すべての学校がこのような方針を取ることが出来るわけでないため、公立学校間で受けられる教育の格差も生じます。越境入学の問題も生じます。

当たり前だと思い込んでいるだけで、実は当たり前のことなんてありません。

価値観もそうです。社会の風潮で「～の方が良い」「～はいけない」というのもそうです。例えば、受験や就職を例にとっても「少しでも偏差値の高い学校に進学すべき」とか「大手の企業の方が良い」という価値観が多数派のようですが、それもひとつです。価値観は人それぞれ。他の人からの意見も参考にしながら、最終的に自分が正しい、と思う行動をとればいいのです。

当たり前、という制限を自分にかけずに、自由な発想でいろいろなことにチャレンジしてほしいと思います。

自分で考える力を養い、様々なことにトライしてください！！

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