【経済入門】適正な価格とは??~需要と供給~
今回はモノの価格についてです。
これは中学3年生の社会(公民分野)で学習する内容が基礎となっていますので、その理論もここでは説明させていただきます。(厳密な話ではミクロとマクロで考えるのとでは説明が変わってきますが、ここではよりイメージしやすいであろう、マクロの視点からの説明をします。)
上の図が価格理論の説明の際によく用いられる「需要曲線」と「供給曲線」のグラフです。まずはこのグラフの構成からです。縦軸は価格、横軸は数量となっています。ですから、縦軸で考えると上にいくほど価格は高く、下にいくほど価格は低い(値段が安い)ということです。また、横軸で考えると左にいくほど数が少なく、右にいくほど数が多い、という構成になっています。
これではまだ分かりにくいのでそれぞれの曲線について考えてみましょう。
まずは需要曲線(図の赤い線)。これは需要側(≒消費者:お金を払ってモノを購入する人)の気持ちと行動を表した曲線です。私たち消費者はモノが安ければ安いほど「買いたい!!」と思いますし、高ければ高いほど「我慢しよう...」となります。ですから、価格が高い所では数量が少なく(「買いたい!!」と思う人が少なく)、価格が低い所では数量が多くなっている(「買いたい!!」と思う人が多い)のが分かると思います。
次に供給曲線(図の青い線)。これは供給側(モノを作ったり、サービスを提供する側)の気持ちと行動を表した曲線です。これは需要側とは逆の発想でみなさんがモノを売る会社の社長の立場をイメージしてください。例えば皆さんはこれから鉛筆を売ろうと計画しているとします。今は1箱100円で売られています。これが1箱10円でしか売れなくなったとしたら鉛筆を作ろう、という気持ちになりますか?一生懸命作っても1箱10円でしか売れないのであればやめておこう、となりますよね。逆に1箱10,000円で売れるようになったとしたらどうでしょうか。ものすごく利益が出ますよね。だから「10,000円で売れるならウチも鉛筆を作るか。」と考える人が増えますよね。ですから、価格が低い所では数量が少なく(作りたい、と考える人が少なく)、価格が高い所では数量が多くなっている(作りたい、と考える人が多い)のが分かると思います。
これが2つの曲線の簡単な説明です。では、ここから理論上はどのように価格が決まるのか。お互いが「安く買いたい(需要側)」、「高く売りたい(供給側)」と相反する意思をもって行動しています。ですから、お互いに妥協して着地点を見つけなければいけません。その最も理想的な着地点が図1のAの点です。この需要曲線と供給曲線が交わる点を「均衡点」といい、この均衡点における価格を「均衡価格」といいます。
理論上はこの均衡点における取引が最も理想的であり、この均衡価格での取引が最も経済を活性化させます。これを具体例を考えながら説明します。
図1に戻って価格がC1の場合を考えてみましょう。価格がC1の場合(均衡価格よりも高い場合)、需要曲線とはCの点、供給曲線とはC’の点で交わっています。このとき、需要側は値段が高いのであまり「買いたい!!」と思う人はいません。したがって、需要曲線の数量はC3となります。逆に供給側は値段が高いので「売りたい!!」と考える人が多くいるため供給量はC2で大きくなります。このとき売りたい人はC2とたくさんいますが、買いたい人はC3と少数しかいません。このときの市場としての(実際に取引が行われる)取引量はC3となります。なぜなら、いくら商品がたくさんあっても(C2)、買いたいと思う人の分(C3)しか売れないため、取引の量としてはC3となってしまいます。したがって、価格が均衡価格よりも高い場合は、需要量に対して供給量が多すぎるため、供給過多(モノが余る状態)となり、取引量は少なくなってしまいます。
次に価格がB1の場合(均衡価格よりも低い場合)、需要曲線とはB’の点、供給曲線とはBの点で交わっています。このとき、需要側は値段が低いので多くの人が「買いたい!!」と考えます。したがって、需要曲線の数量はB3となり、大きな値となります。逆に供給側はせっかく作っても安い価格でしか売れないため「売りたい!!」と考える人が少なくなり、供給量はB2と少なくなります。この場合、市場の取引量はB2となります。なぜなら、どれだけ「買いたい!!」と願う人(B3)がいても、実際に作られた分(B2)しか取引はなされないため、取引の量としてはB2となってしまいます。したがって、価格が均衡価格よりも低い場合は、需要量に対して供給量が少なすぎるため、需要過多(モノが不足する状態)となり、取引量は少なくなってしまいます。
このように、均衡価格よりも価格が高くても、低くても、需要量と供給量のバランスが取れず、実際の取引量は均衡価格の場合よりも少なくなってしまいます。どちらかの数量が少なすぎる場合は、少ないほうの分しか取引がされないからです。理論上はこの均衡価格が適正な価格であり、最も理想的な価格であると考えられていることが分かっていただけましたでしょうか。
そして、均衡価格がどのような価格であるかと同時になぜ需要曲線がこのような形になるのか、供給曲線がこのような形になるのか、丸暗記せずともそれぞれの立場に立って考えれば判断することができると思います。グラフの構成を理解することができれば、「右下がりは需要曲線」などという丸暗記の必要はありません。また、縦軸と横軸を入れ替えたような意地悪な問題にも対応できるようになると思います。これが丸暗記を減らす考え方です。覚えることは図の構成のみ。簡単です。
用語が難しそうで少しとっつきづらく、文章にして書くと難しそうに見える今回のテーマ「適正な価格」についてですが、実際はこの理論は非常にシンプルです。私の文章だけで理解することは困難かもしれませんが、日常生活でも耳にする「需要と供給」について理解する一助となっていれば幸いです。分かりづらい所等、随時修正していきます。ご意見、ご質問等ありましたらコメントに記載していただきたいと思います。
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