なんのために勉強するのか??

 今回は子供たちからよく聞かれる「なぜ勉強しなければいけないのか」について、私なりの考えを紹介したいと思います。


 結論から言うと、勉強はしなければいけないものだとは思いません。子供たちから上記の質問をされた際にはいつも、勉強なんてやりたくないならやらなくていいよ、と言います。それは、子供たちを突き放しているわけではありません。義務教育での勉強の知識が直接的に将来の役に立つことが少ないからです。日本で生活するのであれば、常用漢字が読めて、方程式が解ける程度までの計算が出来れば、生活に困ることはほとんどありません。私は、学校以外で放物線について計算したり、球の体積を求めたりしたことはありません。義務教育で学んだ勉強の知識は必要不可欠なものばかりではないのです。


 では、本当に勉強しなくてもよいか?私は「した方が良い」と思います。理由は大きく2つです。


 1つ目の理由はだまされない為、です。

 知識はなくても生活することができます。しかし、知識は社会の中で武器にも鎧にもなります。経済学者のジョーン・ロビンソンがノーベル経済学賞を受賞した際のインタービューで「なぜ経済学を学ぶのですか?」と聞かれた際に「経済学者に騙されないようにするため」と答えた、という有名な話があります。社会にはさまざまな頭の良い人がいます。そのすべてが善人ではないのです。詐欺のように知識を武器に他人に害を及ぼす人もいます。それらの知識を武器とした攻撃を受けた際に自らを守ってくれるのが、正しい知識です。社会の風潮として、当たり前だと思われていることも、自らの頭できちんと考えないといけません。


 法律の条文がなぜあんなに回りくどく、分かりづらい日本語で書かれているか、考えたことがあるでしょうか?法律は様々な場合を想定して、幅広い事例に対応するために、条文も幅を持たせて書いている。これが一般的な回答だと思います。

 しかし、法律の条文の表現は、条文を読解する力のない人を排除している、という側面も持っています。

 具体例として、税法について考えてみましょう。税金を納めるのは国民の義務です。納付すべき税額は税法によって定められています。みんな税金は納めているけれど、税法についてはあまり知らない。とりあえず国や地方公共団体から請求された金額を納める。しかし、こういう事例に該当する場合は、こういう申告をすれば控除を受けられますよ、というのが税法には非常に多くあります。逆をいうと、その知識がない人については、本来ならば払う必要のない税金も払ってくださいね、という仕組みになっているのです。住民税の医療費控除等は有名ですよね?そういった控除はそのほかにも数え切れないくらい存在するのです。もっと分かりやすい日本語で簡単に表現してあれば、もっと多くの人が条文を自ら読んで考えると思います。しかし、複雑な表現にすることで「自分には分からないから」「専門家が言っているならこれが正しいんだろう」と考えることを放棄します。その結果、いかに多くの損失を受けることになるか。こういった損失、ダメージを受けないために知識の習得は必要であり、ひいては、その基礎としてやはり勉強はした方が良いのです。これが勉強をするべき1つ目の理由です。


 2つ目の理由は、準備・訓練です。

 将来、ほとんどの人は働かなくてはいけません。そしてできることならば、好きな分野で働きたい、と考えることでしょう。そのための準備として勉強は必要だと考えています。それは偏差値の高い高校に入って、偏差値の高い大学に行けば、大手企業に入社できるよ、といった類の話ではありません。好きなこと、やりたいことを見つけることができたとして、その方面の仕事に就くことができたとしましょう。そこで活躍するためには日々勉強です。それは学校の勉強とは全く違ったものです。これをやりなさい、あれをやりなさい、と指示をされる勉強ではありません。自分で何が必要でどういったことを学ばなければいけないか、すべて自分で考えて学んでいかなければいけないのです。それらの知識習得に向けて、基礎知識としての学力は役に立ちます。そして何よりも、考える訓練として学生時代から準備をすることができるのです。私が丸暗記の勉強法を否定する最大の理由がこれです。考えること、これが勉強の最大の目的です。丸暗記のように考えることを放棄して、目先の役に立たない定期テストだけのために時間を費やすのはもったいないのです。せっかく考えるための良い訓練の時間なのですから、効果を最大限得られ、力として蓄えられる方法で勉強してほしい、と考えるのです。これが私が勉強をするべき、と考える2つ目にして最大の理由です。



 個人の考え方は千差万別、みんなちがってみんないい、だと思います。ですから、私は一つの考え方として上記の内容について紹介させていただきました。もちろん異なる考え方の人もいると思いますし、私の考え方が絶対に正しいとは思いませんので、一つの参考として考えてください。


 ただ、もう一つだけ言わせていただくと、「将来、楽(ラク)をするために勉強をしなさい。今、苦労して勉強をすれば将来、楽ができるよ」という大人の方が私の周りにはいました。

 この考え方については、私は反対です。どれだけ勉強をして、どれだけ希望どおりの進路に進んだとしても、またその環境で努力し続けなければいけません。それをせず、今まで頑張って来たから、ここからは楽をしよう、と頭を使って考えることをやめてしまえば、そこからの成長もやりがいもありません。ですから、楽をすることは決していいことだと思いませんし、頭を使って考えれば考えるほど、楽ではなくなるのです。ですが、それが成長であり、やりがいであり、楽しみだと思うのです。本当に楽しいことは苦労や努力の先にあるものだと思います。部活などは最たる例ではないでしょうか。



 子供のうちから、与えられたものだけではなく、自分で考えることができればきっとそれは将来大きな財産として、自分を助けてくれると思います。

 そのためにも自発的に「勉強しよう!」と思っていただければ幸いです。

 

はっとり塾

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